10よりよい情報社会へ

よりよい情報社会を築くために,私たちは,どのようなことに気をつけ,何をすればよいのだろうか。

1情報社会の影への対応

社会の情報化は,私たちの生活を便利で豊かなものに変えつつある。その一方で,これまでになかった脅威や危険も数多く現れている。国家機関や金融機関の情報システムに侵入して情報を書き換えたり,ネットオークションで代金をだまし取ったり,他人のユーザIDとパスワードを無断で使用したりするようなサイバー犯罪がその例である。

このような社会を脅かす問題に対して専門家による対策が進んでいるが,個人としても基礎的な知識や技術を身につけ,適切な判断や行動をすることが求められる。その際に有効なのが,問題解決の考え方である。なぜなら,情報化の進展によって常に新しい問題が生じる可能性があるため,そのたびに状況に合わせた新しい対応が必要となるからである。

図1サイバー犯罪に関する相談件数の推移

サイバー犯罪に関する相談件数の推移

やってみよう!10

サイバー犯罪の対策としてどのようなものがあるか調べてみよう。

COLUMN緊急地震速報

緊急地震速報とは,地震の発生直後に震源の近くの地震計で捉えたデータを分析し,各地での強い揺れや到達時刻を,可能な限り素早く知らせる情報のことである。2007年に運用が開始された。

緊急地震速報

2誰もが使える情報環境

情報社会では,コンピュータや情報通信ネットワークを活用できる人とできない人の間で,得られる情報の質・量や発言の機会に格差が生じる。情報が大きな力を持つ今日の情報社会では,その差が更に個人や地域の社会的・経済的な格差を広げるという悪循環を招きかねない。

このようなデジタルデバイドの解消には,生活に必要不可欠な情報を公平かつ安全に提供できるシステムの整備や確保が必要となる。

また,これからの社会では,「自分たちが使えるように」だけでなく「誰もが簡単に使えるように」することを目指す必要がある。そのためには,ユニバーサルデザインの推進も重要である。

図2世界のインターネット普及率

世界のインターネット普及率

図3子どもたちに教育の機会を

子どもたちに教育の機会を

COLUMN人口減少社会と自動運転車

自動運転車は単に便利な道具としてではなく,私たちの社会が抱える諸問題の解決策として期待され,開発が進められている。まずは,中山間地域で進む過疎化や高齢化の問題だ。過疎化により,路線バスなど地域の公共交通機関が廃止される一方,高齢ドライバーによる事故を防止するために運転免許返納が推奨されている。このため,物資の輸送や日常生活の移動手段の確保が大きな課題となっている。

また,日本社会は人口減少による労働者不足が予想されている。運転手の確保は近い将来どの地域でも重大な問題になると考えられている。

人口減少社会と自動運転車

社会とのかかわり介護を支える技術

体が不自由な人を介護する際に,介護者にかかる身体的な負担は大きい。このため,センサにより動きを感知し,体にかかる負担を軽くする装着型の装置の開発が進んでおり,実用化の段階に入っている。

介護を支える技術

豆知識10電子政府

日本ではe-Taxで税金の申告と納税が行えるが,行政サービスのほぼ全てがオンラインで行えるエストニアなど,情報技術を政府が積極的に利用する国が増えている。