7著作権

著作権法は「人の作品を使ってはいけない」という法律ではない。正しい考え方と利用の仕方は,どのようなものだろうか。

1知的財産権

知的財産権とは「創った人の権利」のことで,著作物に関わる著作権や発明などに関わる産業財産権などから成り立っている。

2著作権とは

著作権は,人が創作した作品と作者を守るための権利である。著作権は,著作物※1に関して著作者が持つものであり,特別な届け出をしなくても作品を生み出した時点で自動的に権利が発生する。このことを定めた法律を著作権法という。著作権法は,表現する行為を保護して文化的活動を促進することにより,豊かな社会を築くために作られている。作品を傷つけたり,無断で利用※2したりすると法律で罰せられるが,著作者から許可をもらうことができれば,問題なく利用することができる。

図1著作物利用の許諾

著作物利用の許諾

MEMO

日本では,著作者の死後70年を過ぎると著作権が消滅する。そのため,明治時代の文豪が書いた小説などが,インターネット上に無償で公開されている。

3著作者の2つの権利

著作権は著作者人格権と著作権(財産権)から成り立っている。著作者人格権は,著作者の意思に反して勝手に作品を変更されたり,一部分だけを抜き出されたりすることで,著作者が精神的に傷つけられないように保護するための権利である。

著作権(財産権)は,著作者がその作品によって生計が立てられるように,著作物を財産として考える権利である。小説や音楽などを制作する人に対する報酬は,この仕組みを基にして支払われている。

図2著作者の権利

著作者の権利

COLUMN

引用のルール
引用のルール

MEMO

著作権(財産権)は,その一部または全部を譲渡したり相続したりできる。それに対して,著作者人格権は,著作者だけが持つ権利である。

やってみよう!7

学校の授業で使われる著作物の扱いについて調べてみよう。

社会とのかかわり撮影して公開

有名コミックを撮影してインターネット上に公開した少年は,出版社に約20億円とも推定される損害を与え,逮捕された。友達とのやりとりでも,インターネットを使って著作物を共有すると罪に問われてしまうため,慎重に行動する必要がある。

撮影して公開

豆知識7建物の著作権

建物にも著作権があるが,撮影した写真を公開する行為は著作権法で認められている。ただし,他人の権利を侵害する場合もあるので,事前に調べておくとよい。

※1 著作物には,小説,音楽,舞踊,絵画,建築物,地図,映画,写真,プログラムなどがある。

※2 著作権法に触れる行為をした場合,民事では損害賠償を請求される。刑事では10年以下の懲役,または1,000万円以下の罰金(法人などの場合は3億円以下)が科せられる。