6傷つかない傷つけないために

インターネットの適切でない使い方により,どのような問題が起こっているのだろうか。

1被害者にならないために

▶見知らぬ人との出会い

インターネットの活用で交友関係が広がり,新しい情報や知識を得ることができる反面,中には悪意を持って近づく人がいて,犯罪に巻き込まれることもある。むやみに連絡先などの個人情報を伝えたり,1人だけで相手と直接会ったりしないよう注意することが大切である。

▶詐欺やなりすまし

「友達になってください。」「荷物が届きました。」「あなたのユーザIDは停止されています。」というような,つい返事をしてしまいそうなメッセージが届くことがある。友人のふりをしたなりすましによる詐欺や,メッセージ内のリンクに誘導されて見たサイトが本物そっくりの偽サイトで,情報をだまし取られるフィッシングの場合もある。安易な誘導にだまされないように,日頃から注意することが大切である。

▶不正アクセス

安易なパスワードを設定していたり,パスワードの再設定に必要な秘密の言葉に関する情報をSNSのプロフィールで公開していたりすると,パスワードを見破られて,不正利用されることになる。

また,人の心理的な隙や行動のミスにつけ込んで,他人のパスワードなどを取得するソーシャルエンジニアリングという手法もある。アカウントを他人への非難や攻撃に使われたり,金銭的な被害に遭ったりすることもあるので,パスワードなどは厳重に管理しよう。

図1ソーシャルエンジニアリング

ソーシャルエンジニアリング

やってみよう!6

セキュリティ上よいとされるパスワードは,どのようなものか調べてみよう。

2加害者にならないために

インターネット上に発信した情報は,不特定多数の人の目に触れる可能性が高い。「友達のみ公開」としても,第三者の閲覧を完全に防ぐことはできない。そのため,自分が想定している範囲の相手だけでなく,どのような立場の人にとってもその情報が不適切でないか,不愉快にさせるものでないか,考える必要がある。

ひとたびデジタル化された情報が他人の手に渡ったら,訂正も回収もできなくなる。いつまでも拡散され,検索され,誤解を解くこともできない。写真や文書を掲載する前に,数年後の自分や関係する人が,それらを見たときにどのような思いになるかを考えることが必要である。

図2想像を超えた範囲に情報が拡散する流れ

想像を超えた範囲に情報が拡散する流れ

▶ネットいじめ

文字だけで交流する場所では,表現不足や勘違いなどによって,言い争いが起きることがある。また,その過程でプライバシーの暴露なども起こりやすい。気持ちの行き違いから,いじめが発生することもある。

SNSなどがいじめに使われた場合,被害者は24時間心が休まるときがない。また,加害者は,顔を合わせないで書き込みができる気軽さから,容易にいじめに加担し,罪の意識を持ちにくい。

感情的にならず,本来の意図を読み取って,どのように返信すれば正しく伝わるのかを考える思いやりがあれば,インターネット上でも現実でも,円滑なコミュニケーションができるはずである。

▶炎上

ある投稿に対し,多くの人が一斉に批判的な反応をすることを炎上という。このようなときは,一般的には発言に反応しないことがよい解決策だとされている。

社会とのかかわり炎上にご注意を

高校生が犯罪行為や悪ふざけをSNSに投稿し,炎上する事件がしばしば起こっている。過去の投稿などから名前や学校名が特定されることも多い。インターネット上の情報は消えないため,時間がたってから炎上することもある。気軽に投稿する前に,一度落ち着いて見直してみよう。

炎上にご注意を

豆知識6人為的要因その2

過去の情報流出事件の調査によると,世界中でよく使われているパスワードは「123456」「password」「123456789」「111111」などの,安易な文字列である。