章末資料
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ディープラーニング(深層学習)
近年の人工知能(AI)の急速な進歩には,ディープラーニング(深層学習)という技術が貢献している。この技術を用いた人工知能は,大量のデータから自動的に規則性や関連性を見つけ出して学習を続け,私たちの問いかけに最適な反応を選び出す。しかし,選び出した理由を説明する機能を人工知能は持っていない。今後,人工知能がさまざまな領域で利用されるようになると考えられているが,その反応を絶対的なものと考えてはならない理由の1つがここにある。
さて,2016年に囲碁プログラムが囲碁のプロ棋士を破り,大きな衝撃が広がった。チェスの世界王者がコンピュータに敗れたのは1996年である。その後,将棋のプロ棋士もコンピュータに敗れたものの,囲碁はゲームの複雑さから,あと10年以上はコンピュータに負けることはないと考えられていた。囲碁プログラムの予想を超える発展を支えたのもディープラーニングの技術である。
ディープラーニングを用いた囲碁や将棋のプログラムは,人間がこれまで思いつかなかったような独創的な戦略を取ることも多い。最近では,積極的にコンピュータを使って研究を重ねる棋士も現れている。ディープラーニングで広がった競技の世界を,人間はどのように発展させるのか,新たな局面が訪れている。
豆知識12OECDプライバシー8原則
1980年にOECD(経済協力開発機構)が勧告した「プライバシーガイドライン」の8原則。個人情報についての考え方の基礎となっている。