章末資料 4 インターネットと選挙

日本では,2013年に選挙運動にインターネットの利用が解禁されると,SNS上にはテレビや新聞などでは伝えられない,選挙候補者に関する情報が発信されるようになった。情報の発信者は選挙候補者だけでなく,専門家や一般市民であることもあれば,悪意を持った人物のこともある。このため,その情報が事実であるという保証はない。

2016年のアメリカ大統領選挙では,選挙期間中に,候補者であったドナルド・トランプ氏の支持をローマ教皇が表明したという,真偽の定かではない情報が発信・拡散された。情報が拡散されて間もなく,ローマ教皇は「事実ではない」と発表した。それにもかかわらず「ローマ教皇が支持」という情報は拡散され,選挙結果に影響を与えたといわれている。

このような,社会に影響を及ぼす真偽の定かではない情報は,近年フェイクニュースとよばれる。

フェイクニュース対策の1つに情報の真偽を検証する「ファクトチェック」がある。ファクトチェッカーとよばれる専門家が行った検証結果は,専門サイトで誰でも見ることができ,事実ではない場合は「誤報」,正確性に欠ける場合は「ミスリード」などと発表されている。

SNSを活用した選挙運動は18歳以上の有権者なら誰でも参加できるが,禁止されている運動もある。更には,発信情報が事実でなかったり,誹謗中傷であったりする場合は処罰される可能性がある。ふだんから情報の発信・拡散には注意が必要だが,選挙のようなさまざまな人の思いが交錯する場面では,より注意深くなる必要がある。

分類 内容 可否
Webサイト等 Webページ、ブログ等
フェイスブック,ツィッター等のSNSでコメントする
フェイスブック,ツィッター等のメッセージ機能を用いて特定のユーザ間でやりとりする
自ら制作した応援動画をネット配信する
電子メール 選挙運動用電子メールの送信 ×
候補者や政党等から送信されてきた選挙運動用電子メールの転送 ×
落選運動 特定の候補者を批判する文書をWebサイトに掲載・電子メールで送信